『ピカッ』...、『ゴロ、ゴロ、ゴロ...』 急にものすごい雷鳴(らいめい)が響きわたりました。「光り物」(金属部)に雷は落ちると聞いていましたので、多少雨にぬれてでも感電死をしないように傘を閉じて、金属部をかくし、走って家に帰りました。
そして、ピカッと光ってから、ゴロゴロが聞こえてくる時間が短いほど「近い」ので、危険度を判断しました。それは、光と音の伝わる速度の違いです。
だから「ピカッ、ゴロッゴロッ!」だったらすぐ近くに雷さんが落ちるかもしれないのです。
幼い頃、世の中のこわい順を『地震・雷・火事・親父...』とよく聞かされていましたが、当時ふるさとではほとんど地震の恐怖を体験したことがなかったので、どうしても『雷、親父』が最高恐怖を占めていたようです。
また、夜おなかを出して寝相が悪いと雷様から「へそ」を取られてしまうと言われ、真剣に用心したものです。
ところで、雷の閃光のことを「稲妻(稲光)」と言いますが、どうして「稲(米)」の「妻(夫)」というのだろうか。また、神社の注連縄に着けてある「御幣帛(ごへいまく)」の形も、稲妻が元になっているようです。
子供の頃それが不思議で、色々調べたら、空気中に最も多い気体の「窒素」が、雷で発生した数十万ボルトの放電によって『結晶化』され、それを雨が田んぼに降り注ぐので、雷が起こるほど米は豊作になる(植物の生育三大要素、窒素・燐酸・カリ)ことを昔の人は知っていて、雷を「稲の妻」と呼んだそうです。
そして、日本では「米」を中心とした宗教・伝統・文化の農耕共同社会をなしてきたので、雷は『神鳴り(神のお告げ)』が語源だったことを知りました。
ところで、幼い頃はそこらあたりにいっぱい「神鳴り様(?)」がいました。「カミナリ親父」を筆頭に、「カミナリ先生」、「カミナリじいさん」、「カミナリばあさん」、「カミナリおっさん」、「カミナリおばさん」、「カミナリ先輩」......など、最近「神鳴り=正義・勧善懲悪論者」が少なくなった気がするのは、「化学肥料」によって、「雷様」の御威光に感謝しなくなったからでしょうか。
また、ビニールハウスが増えたので、せっかく雷様がゴロゴロ、ピカッと「窒素肥料」を作ってくれても大地に降り注がれなくなりました。
だから、特に青物野菜は「化学・窒素肥料」をどんどん与えなければなりません。それをたくさん食べると、腎臓に悪いそうです。だからなのか、熊本県、宮崎県、佐賀県などビニールハウスの多い順に「人工透析」患者が多いということを聞きました。
雷様はちゃんと、良い分量で窒素を降らせているのかもしれません。
そう思うのも、何せ地球46億年の間ずっと雷様がいたから、自然の植物は育ってきたのでしょう。
そういえば、2酸化炭素も、植物には欠かせないものですね。近年「地球温暖化」(?)の原因に2酸化炭素が一番悪者のように言われていますが、2酸化炭素が急激に減ったら植物は枯れてしまうでしょうね。
ビニールハウスでは、2酸化炭素が少ないため、イチゴやメロンなど「糖度」が上がるように、わざわざ「2酸化炭素発生器」を使ってハウスの中に入れています。