(4)『メシイラーズ』地球を救う...は...人類をだめにした?

■私と妻は、

「この数年間、私達はただがむしゃらに『メシ・イラーズ』を造って販売してきていたので、全く世の中の変化に気付かなかったのね」

「そうだね。でも環境は良くなったけど農業は衰退、海も原始の海になっているみたいだし、どうなったんだろうかね日本は。」

「みんな農業、漁業、工業、レジャーランド、旅館も辞めて、一体なんの仕事をしているんだろうね」

「そうか、ついに『マネーゲーム』が頂点に達し、みんな『株』やら『投資』金・銀などの『先物取引』、いや、もしかして、ずっと以前石原都知事が言っていた『東京湾カジノ構想』が進み、みんなギャンブルに明け暮れているんじゃないかな。ばかだなー、お金が食えるわけじゃないのに。」

 

◆「ところで、今日は旅館のご馳走にありつけると思っていたらさんざんだったから、久しぶりに『寿司屋』さんから『特上にぎり』でもとろうか。」

「いいわね。でも出前メニューはあったかしら。」「そういえば最近ほとんどとってないから。えーとここらあたりに確か、あった、あった、三年前のじゃあるけど一応電話してみよう。多少値段が上がっているかも知れないけど、お金ならどれだけでもあるから二倍三倍でも払うよ。............なかなか出ないな」

 

(迷惑そうな声で)

「あいよ、江戸前寿司ですが」

「あー良かった、やっていたんですね。花立の原賀ですが、特上にぎり二人前お願いします。」

 

「はいはーい、でも一週間後になりますよ。」

「えっ?一週間後?ああ、今テレビをみていたら、漁業が衰退しているとのことで、魚が入らないんですか」

 

「いいや、魚は毎日いやというほど自分で釣ってきていっぱい冷凍しているよ」

「だったら、すぐできるんじゃないですか?」

 

「いや、今六人出前の予約が入っているんですよ」

「たった七人目が一週間後ですか」

 

「わしは今ただ好きでにぎっとるけん、一日一人前ときめてるんですよ」

「えー!一日一人前で店がやっていけるんですか。相当高いのでしょ。」

 

「いや、特上なら五百円ももらえばいいよ」

「えっ???」

 

「数年前ずいぶん稼ぎ老後の生活費は十分あるし、毎日釣りに行くぐらいですからね。で、どうしますかご注文のほうは」

「あっ、いや、もういいです。今度にします。と言ってもまたさらに伸びるでしょうけどね。ハハハ」

 

「キャンセルですな。毎度『ガチャ』」。

「どうなってんの?」 

 

さらにテレビから、

TV「本日最後のニュースですが、数年前からほとんどの日本の銀行はアメリカ(ユダヤ系)の銀行の傘下になっていましたが、国内の融資利益の極端な落ち込みによって、ほとんど撤退することが決定しました。当然、かなりの銀行が倒産となる模様で、『ペイオフ』の一口座に付き、返却金『一千万円まで』もほとんど実行されないのは必至のようです。旧『郵貯』も今は民営『メル・バンク』で、同じように外国資本がかなり占めていて、貯金限度額も無制限ですが、やはり近々廃業となるようです。ただし、一般の国民への被害はほとんどなさそうです。それは、この数年ほとんどの人が貯蓄は微々たるもので、かえって住宅ローンなどの負債が、銀行そのものが消滅するので、全て帳消しとなります。」

TV「最後に天気予報ですが、最近、農・漁業、レジャーもほとんど減少していますので、天気に左右されることも少ないので、今回から中止します。いわゆる『明日は明日の風が吹く』っということで、今日のニュースを終わります。おやすみなさい。」(字幕で明日のニュースは午前8時、正午、夕方5時、の3回放送予定です。)と出て、7時に『日の丸』が画面に出て、『君が代』が流れ、7時3分に画面は『シャー』となった。

 

「おやすみって言ったって、まだ宵の口じゃないか」とすっかり暗くなった外を見るとどこもかしこも真っ暗で、本当にもうみんな眠っているかのようだった。

「それはそうと、本格的に『銀行破綻』が起きるなら、明日にも貯金を全額おろしに行こう」

07札束.jpg「そうね。でも2兆円もすぐ解約できるかしら」

「そうだね、100万円の札束が200万束だから、重量にして1束が約100gとしても約200トンで、10トン車を20台雇わなければならない。ましてそんな大量なお札をどこに置く、場所もないよ。相当広い倉庫がいる」

「そんな。どうしよう」

「仕方ないから何億かでも車で運べる程度にして、少しづつ引き出そう。メインは『メル・バンク』だからそう簡単にはなくならないと思うよ。明日さっそく行こう」

「もう、テレビもない、出前もない。仕方ないからもう寝ようか」

「そうねー、でも、まだちっとも眠くないから本でも読もうかな」

 

「ところで、みんなはどうしてもうあんなに真っ暗にして、眠っているんだろう。小さな明りもついていないんだよ。まるで停電のようにね。でもうちはついているから不思議だよね。」

「九電に電話してみましょうか。......もしもし、九電さんですか。花立地区のものですが、ここらあたりで停電していますか?」

「いいえ、今のところどこにも停電の報告はありません」

 

「うちや数軒と、信号機はついているのですが、街路灯に至るまでほとんど真っ暗ですよ。」

「ええと、お名前はどちら様ですか。」

「はぁ、原賀と言いますが...」

 

「原賀様ですね、あーお宅は『全日供給』で、口座引き落としになっていますね。今多くの方は朝の1時間とか夕方2時間など生活サイクルにあわせた『部分供給契約』をされていますので、夏場は朝早く、夜遅くや、冬はその逆だったり色々です。皆さん自然型生活で極力お金をかけないのです。当然、ガスや水道、電話などいわゆる公共料金は全部そのシステムにしたり、自分で管理しておられます」

「あー、そう言えばずっと以前に何か『契約書』の様なものが来ていましたが、うちは夜遅くまで仕事をしていたからでもあったのですが、当然どこも電気無しで暮らせるのと思ってなんでもかんでも『今まで通り』のところに丸を付けて、返送した記憶はあります。皆さんたちはしっかり『環境保護者』だったんですね。」

 

「いえいえ、もちろんそれもありますが、実は九電の方から、極力少ない時間制にして欲しいとお願いしたのです。発電能力の限界なんです。原子力発電は全て停止しましたし、その他の水力、火力発電所も『技術者』というか社員がほとんど辞めてしまい、現在『国家予算』で、いわゆる細々とやっているのです。今、ハゼの実で作る『手づくりろうそく』が人気のようですよ。皆さんもほとんどお金をもっていないのでかなり節約しているのです。」

「どうしてお金が無いんですか」

「は?誰も働かないからですよ。」

「どうして働かないんですか。そんなに不況は進んでいるんですか」

「いや、働きたくないんですよ」

 

「でも、例えば公務員とか先生は働きたくないっていったって、それは犯罪行為でしょ」「いや、仕事に来ないならどうしようもありませんよ。役所も学校も閉鎖しているところが多いですよ」

「ええーっ、じゃあ、国会議員は?」

「えっ、知らなかったんですか。もうずいぶん前から誰一人居ませんよ。もう誰も政治の必要性はないから、選挙にも行かないし、相当な名誉欲のある人は別として誰も立候補しないのです」

(うっ、ずいぶん長いこと選挙にも行っていなかった恥ずかしい)

 

「でも、病院はあるんでしょ?」

「あなたは刑務所、いや失礼、どこかに旅行していたんですか、それとも浦島太郎の親戚ですか?とっくにほとんどの病院は廃業になっていますよ。なにせ病人はいないし、車に乗らないから交通事故はない、自殺未遂はない、生命保険がないから保険金殺人はない、強盗も詐欺もないから警察も病院も要らないのですよ。犯罪者にしてももう数年前、ほとんど釈放され、その後は子供のケンカほどの犯罪しか起きてませんから刑務所も一カ所ぐらいです。もちろん再犯者はいません。」

 

「じゃー、国家予算は、大助かりですね。平和で病気も無く」

「いやいや、もうそろそろ年金も、福祉など全て打ち切るそうです。国家予算も、誰も働かないから税収がほとんど無いのです」

「はあ、なるほど。でも、そもそも、どうしてみんな働かなくなったんですか」

「はっ?あなたはまだ『メシ・イラーズ』を飲んでいないのですか? もう、世界中の人たち、いや、ペットに至るまで飲んでいますよ。実はこれを一粒飲むと一生ご飯を食べなくてもいいのです。人間『めしを食わなくてもいい』なら誰もきつい思いをしたり、上司の顔色うかがってぺこぺこ労働はしませんよ。また子供も勉強や考えることも、要するに面倒なことは一切せず、ぼーっとしていたいんです。そうしていても死にはしないのですからね」

「......」

 

「聞いているんですか、」

「あっ、はい」

 

「なんなら私は無料になって手に入れたので『予備』をいくつかもっていますから分けてあげましょうか。しかし、まだ飲んでいないなら、やめといた方がいいかも知れませんね。やっぱり人間は昔のように額に汗して働いた後の労働報酬で、どんぶりめしを思いっきり食うのが最高の幸せですもんね。私ももうその感覚はすっかり忘れてしまいました。もとに戻りたいですよ。しかし、もう仮に体は戻っても、働くとこなんてどこにもないし、農業しても買う人はいないし、このままボランティアで、九電で余生を過ごすことぐらいがせいぜい生き甲斐ですな。ところでお宅も、お金が無いようでしたら、時間供給に変更されてもいいですよ。手続きは電話で結構です。ついつい、昔のまま生きている人が懐かしく長話しをしてしまいました。またいつでもお電話ください。おやすみ(ガチャッ)」

 

「おやすみなさい」(プー、プー、プー)

受話器は手から滑り落ちた。

 (終わり)

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